開放マニア「ボケを生かすのが一眼の醍醐味」

デジタル一眼レフカメラはレンズを交換することができて、その中でも単焦点レンズと呼ばれる焦点距離が固定されたものがあります。これらはズームレンズのように焦点距離を変えることができませんが、その代わり非常に写りが良く、しかも「明るい」レンズです。

明るいレンズって何?

明るいレンズとは、最大開放時の絞り値が小さいレンズのことです。ズームレンズなどではF/4-5.6などの絞り値ですが、単焦点レンズでは、F/1.8など絞り羽根を大きく開いた状態で撮影することができます。

こういったレンズでは、暗いところでの撮影に強く、また絞りを開放することにより、被写界深度(焦点が合う距離)が短くなりますから、前後がボケた写真になります。この前後のボケを表現することが、センサーが大きく明るいレンズを備えた一眼の醍醐味のひとつでもあります。

ボケ味の良さ

前後がボケた写真は、焦点が合った被写体を画面内で浮かび上がらせる効果があり、また平面でありながら非常に強烈な立体感を表現することが可能です。

公園の鴨

レンズが明るくてもマイクロフォーサーズ以下のセンサーサイズであれば、ボケそのものがとても大雑把になってしまい、画面全体のサイズ感が非常に矮小になってしまいます。逆にセンサーサイズがフルサイズや645くらい大きくなると、奥行きの表現が繊細になります。ボケを生かした撮影を行うのであれば、APS以上のセンサーサイズが求められます。それ以下のセンサーサイズでは、レンズの明るさはほとんど関係ありません。

なんでもかんでもボかせばいいの?

初心者が陥りがちな間違いです。ボケの効いた写真が面白くて、ついつい常時フル開放でなんでもかんでも撮ってしまいがちになります。その結果、次のような失敗写真が生まれます。

  1. ボケが強すぎて被写体そのものも若干ボケている
  2. 全体的にただモヤっとした写真になる
  3. 何を撮ろうとしたかわからない

ボケにはいくつか特性があります。その特性をよく掴んで、最適な条件を選び出さないと、非常に素人っぽい写真になってしまいがちです。その特性を明らかにした上で、上記の失敗の原因について考えます。

ボケとは被写界深度が浅いこと

前後がボケるということはつまり、焦点があう深さ「被写界深度」が浅いということになります。カメラを構えた人から5m〜6mまでの範囲にしか焦点が合わないのであれば、被写界深度は1mということになります。この範囲から離れれば離れるほど、ボケは強くなっていきます。

絞り値が小さいほどよくボケる

ボケ写真を撮るには絞り値が小さく、つまり絞り羽根を開く必要があります。こうすることで、斜めからのものも含めて多くの光を取り込むことができます。その結果、被写界深度が浅くなります。

被写体が近いほどよくボケる

カメラに近い被写体に焦点を合わせる方が被写界深度は浅くなります。逆に遠い方が被写界深度は深くなります。iPhoneのような非常に小さなセンサーのカメラでさえ、マクロ撮影に近いほぼ密着した被写体を撮ることでボケを生み出すことも可能です。

焦点距離が長いほどよくボケる

焦点距離が長い中望遠や望遠レンズは非常によくボケます。85mmレンズだと、F/4でも溶けるようにボケます。


これらのボケの特性は、図にしてしまえば容易に理解できます。ただ頭の中で理屈で覚えても、実際に撮影するときにかくあるべきを導き出すことは難しいです。このへんは慣れになってきますから、たくさん撮影しなければなりません。

失敗写真の1については単純で、被写界深度が浅すぎるために起こります。開放状態で被写体に非常に近づいて撮影すると起こります。レンズが明るくてもファインダーが暗いカメラでやりがちです。撮影時は結果をこまめに確認した方がいいでしょう。

失敗写真の2は、開放状態で非常に遠い距離の被写体を撮影しようとしたときに発生します。開放撮影でも無限遠に焦点を合わせることができますが、やはり被写界深度は浅いですし、開放状態だとシャープさを失います。遠い被写体や無限遠に合わせるときは、適度に絞った方がシャープさを得られます。

失敗写真の3は、おかしなところに焦点を合わせています。手前から奥に向かって伸びる手すりの一部に焦点を合わせて前後をぼかすと、なんの写真かわかりません。被写体に対して鋭角にレンズを向けるのはボケ具合の確認時くらいで、普通の撮影ではおかしな写真になりがちです。

第3 – うわっ…私の写真、ボケすぎ…? しっかり理解しておきたい被写界深度と距離の関係