邪魔な枝は切り落とす

カワセミは餌付けし、川をせき止めてダイブポイントを人為的に作り出し、サンゴにK.Yと傷をつけ、封鎖されたドアを引っぺがし、邪魔な桜の木の枝は切り落とす。劇的な写真を撮影するために行われるこうした捏造行為は、それが発覚した途端、その写真の価値も撮った人の価値も地に貶めます。

演出と捏造の境界線

曖昧な基準ですが、観る人を騙す意図で撮られたものは捏造と言えるかもしれません。Webサイトの素材などはそれがちゃんとしたスタジオでライティングに配慮された状態で撮影が行われたことは容易に想像できます。

下の写真は私がカメラを買ったばかりの頃に撮影した捏造写真です。ブランコの間を桜の花片が舞い落ちる瞬間を撮影しようとしていたのですが、露骨に不自然ですね。自然に散る桜の花びらは、どんなに散り際であっても疎であり、総て完璧に計算されているから心に響くのです。

あれは散るのじゃない、散らしているのだ、一とひら一とひたらと散らすのに、屹度順序も速度も決めているに違いない、何という注意と努力、私はそんな事を何故だかしきりに考えていた。

小林秀雄『中原中也の思い出』

捏造

迷惑行為・犯罪行為

鉄道敷地内に侵入して桜の木を切ったしなの鉄道の事件がありますね。周囲に民家もない場所で、わざわざ鉄道敷地内に侵入し、車両の全容が見えなくなる桜の木を誰かが切った謎の事件です。誰が切ったかわかりませんが、ほとんどの人はこの事件からどういう種類の人間が犯人か容易に想像できます。

彼らは平然とキセル行為を行い、ホームを全力疾走して乗客を突き飛ばし、カメラの前を横切る一般人に罵声を浴びせ、子供を抱え上げて親に土下座させ、線路内に脚立を立てて列車の通行を妨げるなど、見下げ果てた行為になんら罪悪感を覚えない鉄道に群がるハエの群れです。彼らは自らの欲望に大変正直で、肝心の鉄道とも、写真とも、真面目に向かい合って葛藤したことなど一度もないのでしょう。最低限の礼儀作法を無視すると、もはやカメラを持ってホームを歩いただけで白い目で見られます。

こうした犯罪行為や、川をせき止めるといった迷惑行為によって撮影された写真にはなんの価値もありません。射界に入る人を「写真を撮るからどいてくれ」と言って人払いした写真にも同様に全く微塵の価値もありません。そう聞いて「人が邪魔なときどうすりゃいいのよ?」と思ったアナタ。明確で実に簡単な方法があります。お持ちのカメラを中古カメラ店に売却し、金輪際永久に写真を撮らないことです。