センサーでデジタルカメラを選ぶ

デジタルカメラは写りの良さだけでなく、携帯性、価格、操作性、拡張性などを総合的に評価すべきですが、純粋に出来上がる写真品質にこだわりたいという方も多いと思います。

とにかく初心者のときは、デジタルカメラの機種によってどういう写りの差が生まれるかまったくわかりません。そこで、これからカメラを買う方に向けて、できるだけわかりやすく説明してみます。わかりやすさを重視していますから、正確な情報ではないことを留意してください。

センサーについて

デジタルカメラはレンズから取り込んだ光をセンサーで拾って映像を撮影します。ですから、撮影品質はセンサーとレンズに左右されることになります。フィルムカメラのように本体とフィルムが別々のものであれば、本体と切り離して考えることができるのですが、カメラのセンサーは本体に内蔵されています。NikonボディにCanonセンサーを搭載することはできません。

センサーサイズ

センサーサイズはすごく大雑把に分けると

  1. 中版センサー
  2. フルサイズ
  3. APS-Cサイズ
  4. その他のセンサー

の4種類となります。上からサイズが大きい順番になっており、APS-Cに満たないセンサーはひとつに纏めてあります。基本的にセンサーサイズは大きいほうが写りは綺麗になりますし、ボケ味も大きくなります。
CMOSとCCDという差もあるのですが、現在は製造コスト以外にほとんど違いはありませんから、ここでは割愛します。

中判センサー

MamiyaやPENTAX、Phase Oneなどの一部のプロ向けメーカーからしか出ていない中判カメラに搭載される、非常に大きなサイズのセンサーで、中古品でも高価なものがほとんどです。初心者にとっては免許取りたてでパンテーラを買うようなものですからとてもお勧めできません。

フルサイズ

次に大きなセンサーはフルサイズです。35mmフィルムとほぼ同じ大きさのセンサーを搭載しますから、ボケ味やレンズの焦点距離等がフィルム時代そのままの感覚で使用できます。フルサイズ一眼レフも随分手頃な価格帯まで下がってきていますので、財力に余裕のある人はAPSカメラを飛び越えてフルサイズ機を最初から購入してしまってもよいでしょう。

APS-C

最も一般的なデジタル一眼に搭載されるセンサーサイズがAPS-Cです。フィルムとデジタルの融合という意味不明なビジョンを標榜したAPSフィルムカメラは誰にも知られることなくひっそりとその生涯を閉じましたが、その微妙な規格だけがデジタルカメラセンサーの大きさを表す言葉として生き残りました。
初心者であまりお金をかけたくないのであれば、APS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラをお勧めします。

その他のセンサー

APS-Cサイズに満たないサイズのセンサー、マイクロフォーサーズとか、更にそれより小さなコンパクトデジカメのセンサーなどは、豊かなボケ味のある写真は撮れませんし、写り自体もあまり良いとはいえません。一部の愛好家が好むコンパクトデジカメの名機には独特な画像加工エンジンが搭載されており、一般人が使いこなすのは非常に困難です。

メーカー別の差

センサーはメーカーによって設計上の特性から独特な特徴があるようです。それらは素人目にも露骨に明らかな落差があるのですが、RAW現像加工ありきの場合とjpeg撮って出しの場合で分けて考える必要があります。

Nikon

個人的にD5100、D800ユーザで、周囲にもNikonユーザが多いです。
主にSONY製のセンサーを使用しているようです。カメラの性能、堅牢性、使い勝手等、全てにおいてカメラファンの要求を満たしますが、センサーだけはひどい有様です。ほとんど光学顕微鏡のように、見たままの色を記録するだけですから、無調整の撮って出しは見られたものではありません。特に人物を撮影すると、アンバーがかかって肌に生気がなくなります。事件現場の証拠写真を撮影にするのには向いていますが、思い出を記録するものではありません。現像ソフトの活用が必須になります。
但し、RAW画像は白飛びや黒潰れに非常に強く、情報が失われることが少ないですから、現像時の追い込みには向いています。その分、現像処理の知識と技術が要求されます。

Pentax

個人的に使用経験があるのがちょっと古い機種になるので現在はわかりませんが、SONYセンサーを使用しています。撮影品質に関してはNikonと異なり、撮って出しは少し重い感じがします。人物の撮影では少しくすんだ色合いになりがちです。それ以外では素直な発色なので、やはり現像で追い込んでいくタイプのセンサーだと思われます。
中判カメラの645DにはCCDセンサーが使われていて、ジラジラした感じに仕上がります。

Sony

(検証機がありません)

Canon

仕事で5Dmark3を使用しています。
人物撮影において「思い出の色」をそのまま再現する素晴らしいセンサーです。ほとんど撮って出しでそのまま使える色合いの写真を撮影できます。おそらく一般の人が見た時、直感的に一番きれいだと考えるのがCanonセンサーだと思われます。現像でゴリゴリ追い込んでいくのであれば他のカメラでも可能ですが、人物のCanonトーンを再現するのは不可能です(パープルが被ります)。高価な現像ソフトを買う余裕も予定もなければ、Canon製品が向いていると思います。
但し、RAW画像は白飛びしやすく、加工耐性があまり無い印象です。
5Dだけかもしれませんが、測光が苦手で暗所での撮影が難しく、AWBが不安定です。

Fujifilm

X-TRANS CMOSという、通常のベイヤーセンサーとは異なる配列の素子を持ったセンサーです。
仕上がり自体はデジタルなパキっとしたものですが、フィルム的な柔らかい色合い、鮮やかな色合いなどを再現します。Canon同様、撮って出しでも人物撮影においては非常に美しい仕上がりを期待できます。但し、RAW画像はそれほど加工耐性がありません。本体の現像機能にPROVIAとVelviaをエミュレートするモードがあり、この撮って出しだけでも非常に綺麗な写真を出力します。

Sigma

FOVEONという三層構造のセンサーで、光の三原色RGBすべてを取り込むことのできるセンサーです。
仕上がり自体は惨憺たるもので、おそらくすべてのセンサーの中で最悪の出力結果となります。基本的にこのセンサーによる画像は現像時に追い込んでいくことを前提としており、その他のベイヤーセンサーと違って「取りこぼして予測している情報」がありませんから、きっちり現像できれば至高の仕上がりを期待できます。およそ初心者にお勧めできるものではありませんが、敢えて他人と違う写真を撮りたければトライしてみる価値はあります。