レンズについて
デジタルカメラにおいてレンズの選択肢はフィルム時代のものも含めると非常に幅広いのですが、なるべく新しいレンズを選ぶことをお勧めします。
古いフィルム時代のレンズはコーディングが施されていないケースが多く、斜めからの光を多く取り込み、逆光においてフリンジ等の原因を作ったりします。これらを最初から気にかけて撮影するのは難しいですから、新しめのデジタルカメラ用レンズがお勧めです。とくに本体と同じメーカーが製造した純正レンズは優等生の写りを見せます。逆にサードパーティであるSigmaやCarl Zeissレンズなどはかなり尖った印象の画になったり、色収差が大きかったりするので、それらを選ぶ場合はその特徴を事前に十分調べて置いたほうが良いでしょう。
レンズにはざっくり分けて次の種類があります。入門者には単焦点をお勧めします。マクロレンズは除外してあります。
機構別
単焦点レンズ
焦点距離を変えることのできないレンズです。ズームレンズに比べて明るく、写りが綺麗なものが多いです。比較的安価に入手できます。
ズームレンズ
焦点距離を変えることのできるレンズです。単焦点レンズに比べて暗いレンズが多いですが、仕事の撮影など撮り方の制限が厳しい環境で難しい要求に応えるにはズームレンズが必要になります。趣味の撮影では使いどころが限られます。
焦点距離別
広角レンズ
標準レンズよりも画角が広いレンズで、大体24mm前後の焦点距離となります(明確な基準はありません)。見える範囲が非常に広いので、特定の何かではなく部屋や屋外の全景を撮るのに向いています。レンズの明るさに関係なく、被写界深度が非常に深いのが特徴です。全体的に歪んだ画になりがちですので、工夫しないと全部同じような写真になってしまいます。入門者にはお勧めできません。
標準レンズ
50mm前後の焦点距離を持ったレンズで、狭くも広くもない画角です。非常に奥が深く、一番普通の写真を撮ることができるので、入門者には最初に買い求めて欲しいレンズです。標準画角を含むズームレンズでも構いませんが、単焦点の標準レンズのほうが明るく、ボケ味が美しく、より安価です。レンジファインダーカメラなどは標準50mmレンズを装着したら永久にそのままであることも珍しくありません。
中望遠レンズ
そもそも中望遠レンズというジャンルは一番明確でない曖昧なものです。70mm、85mm、90mm、135mmくらいの焦点距離がそれにあたるようですが、これもきちんと定義はされていません。
標準レンズに比べて圧縮効果が高く、比較的絞っても大きなボケが発生します。こちらもズームレンズより単焦点レンズの方が圧倒的に綺麗に撮影できるようです。標準レンズに比べてやや重いですが、かろうじてスナップ撮影できるサイズです。
望遠レンズ
300mmを超えるような非常に画角の狭いレンズです。
初めて望遠レンズコーナーを訪れるといろいろな大きさの望遠レンズが並んでおり、巨大なものほど遠くを見ることができるように感じるのですが、それは間違いです。レンズの大きさは明るさに結びつき、大雑把に言えば画質の良さに直結します。片手で構えられる小さなフィールドスコープがテレコンつけて2000mmのような超望遠を実現するのに対し、328と呼ばれるNikonナノクリスタルレンズは300mmに固定されています。前者が滲んだ色収差の酷い覗き画質であるのに対し、後者は空気中の塵まで写し撮るほど美しい画を結像します。価格も桁が違います。
だいたい巨大で三脚に載せる前提のものが多く、入門者には向いていません。
レンズ購入時の注意
レンズには「マウント」と呼ばれるカメラ本体との接続面の仕様が決められています。たとえばNikonであれば「Fマウント」、Canonであれば「EFマウント」のような主要規格があります。ご自身が購入するカメラ本体のマウント規格を把握してください。CanonのカメラにNikonのレンズは装着できません。
また、レンズにはこれまたおおまかに分けて、フルサイズレンズとAPSサイズレンズがあります。前者はフルサイズカメラに装着できますが、後者を装着すると、撮影できる写真がAPSサイズになります。逆にAPS-Cのカメラにフルサイズレンズを装着しても、特に問題はありません。デカくて重いだけです。
レンズの焦点距離ですが、APS-Cサイズのセンサーに対しては、焦点距離を35mm換算する必要があります。例えば50mmレンズをAPS-Cカメラに装着すると、35mm換算だと75mm相当になります。これは画角が75mm相当になるだけで、ボケ味などは50mmレンズのままです。フルサイズの75mmとは撮影できる画が結構違います。
マクロレンズって?
大雑把に言うと、被写体に近づいて大きく撮影できるレンズです。
通常のレンズは最短撮影距離が思いの外遠く、センサーの小さなスマートフォンやコンパクトデジカメのような接写はできません。マクロレンズは被写体に近づいて撮影することに特化したレンズで、接写でのフォーカス幅が広いです。ただし、被写体から少し離れただけで「無限遠」になってしまったり、望遠マクロレンズだと手ブレがひどかったり、フォーカスが合いにくいといった難しさがあります。
最初からマクロレンズを購入するのは明確な目的(模型を撮影する、昆虫を撮影する)が必要になります。興味本位で買うのはあまりお勧めできません。